2013年10月02日

「本当の図書館を求めて」(次の一年へ)

              
1、はじめに
今、武雄市図書館が売れています?全国から視察や若い人たちが訪れ、メディアも連日のように報道しています。が、その経過や実態については殆ど知られていないように思います。武雄市図書館・歴史資料館は、図書館という公共施設から蔦屋書店とスターバックスコーヒー中心の商業施設になりました。その公共施設と商業施設の融合?が、新しい図書館として全国から興味を持たれているのでしょう。また、その新しい図書館を評価し、追随する自治体も出てきているようです。全国に沢山の公立図書館がありますが、ここまで商業化した図書館は武雄市が初めてでしょう。2〜3年もすれば、今のように外部から人が訪れることもなくなり、人を呼ぶ図書館(観光施設)としての機能は終焉すると予想しています。

あと一つ忘れてならないのは、鍋島茂義侯を顕彰・その実積を展示していた蘭学館も、同時に壊されてしまったことです。今、佐賀市の三重津造船所跡が世界文化遺産の登録を目指しています。この造船所の切り口を開けたのも、茂義侯の武雄蘭学であったことを私たち武雄市民は忘れてはなりません。その功績を辿るために整備されていた、100吋の3Dビジョンなど約2,1億円分の情報機器類もすべて撤去され、館内は蔦屋書店のDVD・CDのレンタルコーナーになってしまいました。

商業化されたワンストップ型の図書館は若者には人気かもしれませんが、一方で子どもたちや高齢者を排除するような形になっています。私たち武雄市民は「知の拠点」としての図書館・歴史資料館を無くしてしまいましたが、そのツケは長期的に市民の知的レベル=市民力に現われて来るように思います。そのことは、地方分権時代の“自立のまちづくり力”を減衰させていくでしょう。

2、本当の図書館をもとめて
○本を読むと、本に登場する多くのモデルに出会います。小学生の頃、偉人伝・伝記ものを競って読みました。その多様な生き方や考え方は、一つのモデルとして、今も自分の身体の中に生きています。

○武雄市は図書館・歴史資料館の二つの施設を併設しました。技術立国日本の扉を開けた28代武雄領主・鍋島茂義侯の功績を後世に伝え、誇りにして欲しいと思ったからです。そのような過去の歴史から現在のまちづくり資料までを、広く公正に蓄積するのが両館の仕事です。その蓄積から過去を学び、夢のある未来を描くことができます。武雄の子どもたちが、茂義侯をモデルに世界に飛翔する“生きる力”を培う、その場が図書館・歴史資料館とその周辺の自然・歴史環境でした。

○そして、その膨大な資料に辿りつくために水先案内してくれるのが、図書館司書と歴史資料館学芸員のみなさんです。両者は専門知識を学び、情報の収集・蓄積保存・提供のプロです。子どもたちからお年寄りまで、温かく優しく資料・情報の場所に案内してくれていました。機械化・省力化は便利であっても、大切な人と人との温もりを奪っていきます。

○良い図書館があっても遠くでは行くのが大変です。私たちは昨年、市町村合併前の山内町・北方町にも本館と連携する兄弟館を造ることを提案しました。旧武雄市の本館だけでは無く、身近な生活圏の中にあれば普段着で気楽に行けます。急速に進む高齢・少子化の中で、身近な図書館が子どもの育ち・お年寄りの生きがいの「核」になり得ると思ったからです。

○子どもたちが絵本の読み聞かせに集まってきます。さらに絵本を覗きこんできます。絵本から言葉が次々に出てくるのが不思議なのです。人は言葉を持つことで、動物とは違う文明社会をつくってきました。言葉は自分の気持ちを相手に伝えるための大事なツールです。豊饒な言葉を持つことが、豊かな人間関係を築く基になります。言葉は使い方一つで、人を傷つけたり、人の心をほぐしたりしてくれます。

小さい頃から情報機器に接する事は、子どもたちの言語発達に障害を与えているように思います。ICT教育をすべて否定しませんが,子どもたちの発達段階に沿い慎重に進めることがなければ、子どもたちの育ちの環境にとんでもないリスクを生じさせるのではないでしょうか?分からないだけに心配しています。

3、おわりに
昨年7月、図書館・歴史資料館を学習する市民の会を立ち上げて一年が過ぎました。お盆8月14日に、総括的な「一年振り返り学習会」を開きました。
そのテーマが「本当の図書館を求めて!」でした。
次の一年に向けて、あらためて、本の力・図書館の力を地域の力にしていくことを考え行動していきます。
本当の図書館を求めて!みなさんご支援ください!
次代の子どもたちのために、半歩足を踏み出す勇気を持ちましょう!
ありがとうございました。

武雄市図書館歴史資料館を学習する市民の会 井上一夫(文責)
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2013年09月24日

学習会を開催します

9月30日(月)に山口県からの図書館関係者への報告会に合わせて学習会を開催します。お気軽にご参加ください。

内容:(1)1年振り返り学習会の報告・今後1年の活動についての話し合い
    (2)1年振り返り学習会を踏まえての公開質問状の提出内容について
時間:14:50〜15:50(報告会)その後17:00まで学習会
会場:武雄市文化会館大会議室A
posted by 市民の会 at 13:39 | Comment(0) | 学習会

2013年09月17日

小さな郵便飛行機

『絵本“小さな郵便飛行機”と図書館力・本の力』            

私ごとで恐縮だが、もう40年も前になるだろう。私はその当時福岡市に単身赴任していた。長女が保育園の年少児クラスのヨチヨチ歩きの時代で、当時旧建設省の営繕部建築課は、九州管内の国の出先庁舎や種子島の宇宙開発センター、安保対応の新設警察機動隊・隊舎などの設計に追われ、月に一回程度家庭に帰ることが常態化していた。その状態の中で、娘は私の顔を見るなり泣きだす始末で、膝に乗るようになるまでに妻や義母の介添えが必要であった。

離れでうたた寝をしていると、娘が一冊の絵本を抱えて上がってきた。絵本を差し出し読んで欲しいのしぐさで膝に乗ってくる。2〜3回繰り返し読み聞かせの後に母屋に帰って行ったが、30分も経たないうちにまた同じ絵本を抱えて上がってきた。
その絵本がディズニーの“小さな郵便飛行機”で、その絵柄やペドロという名前もうっすらと思いだす。その時、なぜ娘はこの絵本を繰り返し読むことを求めるのか?毎日顔を合わせることが出来る父親を求めているのだろうか?などと考え、少し感傷的になったことを覚えている。

それから5年ぐらいの時が過ぎ、武雄市文化施設群構想のPJを知ることになり、娘が小学校入学直前に国家公務員を辞し、転勤のない武雄市役所職員になることを決めた。
今年のお盆に娘二人夫婦と孫たちと食事に出かけ、旧建設省を辞めることを決めた絵本の事を話した。妻も娘たちもへ〜っという感じで聞いていたが、この絵本の事は娘二人もよく覚えてくれていた。

昨年10月31日、改修のため閉館直前の図書館を保育園の子どもたちと訪ねた。多分2度と訪れることにはならないと予想しながらの訪問である。少し目を赤くした児童司書さんが、すぐに子どもたちの傍に来て“おはなしのへや”の準備をしてくれた。(写真1)
ふと目を移すとすぐ横の児童コーナーに、ベビーカーを止めた一組の親子が本を探していた。(写真2)

許しも無く写真を撮らせていただいたが、私には図書館児童コーナーを象徴するかけがえのない構図の1枚になった。おかあさんが本を読んでいる、ベビーカ―の赤ちゃんはその母親の姿をジッと見ている、本の“刷りこみ”が始まっているのである。おねえちゃんは、絵本の表紙を触りながら移動している。未だ読む年令に達していないようだが、来年には直ぐ後ろのテーブルに絵本を運び読み始めるだろう。

このような静かな時間と空間が図書館に在る・親子に必要であることを、行政のトップや教育委員会の人たちは理解しているのだろうか?一冊の絵本がきっかけで、男の仕事が変わり家族の安寧を招く方向を示唆してくれる、そのような人生の転換を示してくれるのも図書館力・本の力なのである。

私は微力だが、武雄市図書館・歴史資料館の復権に人生最後の時間を使うことを決めている。単なる正義感でこの仕事を決めたわけではない。ただ、コーヒーが飲めれば楽しい、市外から沢山の人が訪れれば「図書館のニューモデル」だ!と喧伝する、その表層的な情報でしか図書館観を造型できない政治・行政やメディアを変えなければ、子どもの育ち・次代が危ういと思っているだけである。

2013年9月
武雄市図書館・歴史資料館を学習する市民の会 代表世話人 井上一夫

左写真=旧武雄市図書館最後の日.pdf
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2013年09月13日

「「武雄市図書館の民間会社による管理・運営に関する声明書」図書館友の会全国連絡会」とその回答書

「武雄市図書館の民間会社による管理・運営に関する声明書」図書館友の会全国連絡会.pdf
図友連声明書に対する武雄市長・武雄市教育長の回答書.pdf
図友連声明書に対する武雄市議会の回答書.pdf
posted by 市民の会 at 18:05 | Comment(1) | 参考資料

2013年08月16日

改修後の武雄市図書館を見学した図書館関係者のコメントを集めてみました。

武雄市図書館見学b.pdf
武雄市図書館へ行きました.pdf
武雄市図書館へ行きました(コメントなし).pdf
武雄市図書館が悲しい。.pdf
武雄市見学.pdf
雑誌について.pdf
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