2014年03月03日

子どもたちにホタルを見せよう!

埼玉県学校保健会では、頻発する子どもに関する事件に危機感を強め、平成16年から「IT機器の使用が子どもの心に及ぼす影響」について調査・検討している。その中で、医学博士で脳科学の権威・森昭雄教授は興味深い次のような報告をしている。近年脳科学の発達により、脳波を計測し脳の働きが科学的に証明されるようになってきており、その計測データーによると、同じ小説を読むにもコンピューターで読む時より本で読む時の方が、前頭前野ばかりではなく、右能も左脳も活発に働いていることが分かるという。

大まかに脳の構造を言うと、前頭前野(前頭葉)は、意思・創造・思考・規範を主に司り、頭頂葉は体性感覚・運動を、側頭葉は聴覚・視覚・読み書きを、海馬とその隣の偏桃体は記憶を司ると言われているが、森教授の脳の活動状況のカラ―映像では、本で文字を読むほうが脳が活性化されていることと、アニメを見ている時は左右の脳が殆ど動いてないこと、音楽を静かに聴いている時は脳が活発に動いていることが分かる。また、驚くことには、3才の子どもがホタルを見る時の脳が、本を読んでいる時と同じように活発に動いてことである。特に前頭前葉が働いていることは、幼児なりに一生懸命ものを考えているのである。

さらに森教授は、アメリカの宇宙物理学者でインターネットの発展に手を貸してきたクリフォード・ストールの言葉を紹介している。「今の子どもは、テレビやコンピューターゲームなどを介してアニメの映像に過剰なまでに晒されている。子どもを(沈思)黙考へ導くコンピュータープログラムがあったらお目にかかりたいものだ」と。ストール氏は森教授と同じく、ITやコンピューターの全てを否定しているのではない。これら機器としての利便性はよく承知しているが、その機器は社会的判断が出来るようになってから与えても遅くないと言っているのである。

特に重要なのは0才から3才までの間に、両親とりわけ母親が乳幼児をいかに優しく抱擁し、根気よく語りかけ、目を見つめ、抱きしめて育てなければならないかと言うことである。そうすれば、1才以下の乳児は人間を信頼できる、暖かく快い動物として認識するようになる。3才以下の乳児たちは、脳が正常に発達する基盤を獲得するかどうかの瀬戸際におり、この時期に人間不信感を持つと以後ずっとトラウマとして尾を引くことが予想されている。このような時期に、傍らにテレビを置いて親が楽しむための騒がしい音響を聞かせたり、忙しい過激な画像を見せたりすると、子どもの脳は健全に発達するのが困難になっていく。 

森教授は「脳の回路がどんどん組み立てられていく筈の3才前に、常にわけのわからない映像と言語が脳に入っていく」ことは、良くないと述べている。(この調査のアンケート結果は、1才児からテレビ視聴開始が多い)    

この調査報告をまとめた埼玉県学校保健会は「子どもたちにホタルを見せよう」を提唱している。それは、ホタルを見る3才の子どもの脳が、知・情・意や道徳心を司る前頭前葉で非常に活性化することを踏まえての発言で、子どもたち特に就学前の乳幼児に出来るだけホタルを見せられるような環境を与えて行こう、という提唱である。

IT先進国の米英では、IT機器は成人してから持たせる動きがあるという。3DTVやiPadなど、次々にIT機器が更新されていく国内で、娯楽性・効率性や景気回復志向の大人感覚が、日本の子どもの育ちを危うくしないか心配である。

2007年の国際調査(IEA)において日本の子どものテレビ、ゲームなどの電子映像メディア接触時間は世界一であるという結果が出ている。                       

20101015 井上一夫
posted by 市民の会 at 17:30 | Comment(0) | その他
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